暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

大迷惑

事件は土曜日の朝に起きた。
 
土曜日の朝6時。
第四の河口周辺で釣りを始める。
足下に野良子猫が集まってくる。
どうやら釣れた魚が目当てらしい。
 
土曜日の朝7時。
結局魚は釣れず納竿することにする。
2ピースロッドを外しているとラインの先のメタルマルに子猫が飛びついた。
その直後にロッドが重くなりラインが引っ張られる。
どうやらメタルマルが子猫の前肢に引っ掛かったようだ。
いつもならシーバスやサゴシ、タチウオなどをバラすメタルマルが今日に限って外れない。
綱引きが永遠に続きそうなのでやむを得ずラインを切る。
全速力で逃げる子猫。
しかし、前肢に引っ掛かったメタルマルのせいで時折転ぶ。
転んだ隙にメタルマルを外そうとするがなかなか外れない。
結局子猫は逃げてしまった。
さあどうしよう。
 
土曜日の朝8時。
選択肢はいくつかある。
一つ目はこのままにしておくこと。
しかしそれはさすがにできない。
二つ目は子猫を捕獲してメタルマルを何とか外すこと。
職業柄自分でも何とかできるかもしれないが、簡単に外してくれるとは思えない。
それに自分は獣医師ではないので猫を取り扱った経験が全くなく一抹の不安が残る。
三つ目は子猫を捕獲して動物病院で診てもらうことだ。
いろいろ考えた末、それしかないと考えた。
 
土曜日の朝9時。
早速動物病院に電話して、野良猫でも診てもらえるか、治療費がいくらになるかを確認する。
すぐに子猫を捕獲しようとも考えたが仕事があるのでしばらく海から離れる。
 
土曜日の昼4時。
再び第四の河口を訪れ子猫を探す。
結局見つからず帰宅することに。
 
日曜日の朝6時。
再度第四の河口を訪れ子猫を探す。
運良く昨日と同じ場所でメタルマルが
引っ掛かった子猫を発見する。
早速コンビニエンスストアに向かいキャットフードを購入する。
予め用意した段ボール箱にキャットフードを入れて子猫を誘き寄せる。
数分後子猫がキャットフードに夢中になっているところで玉網で捕獲する。
子猫を段ボール箱に入れガムテープで封をする。
 
日曜日の朝8時。
段ボール箱を大学に置き、動物病院が開くまでの間に所用を済ます。
 
日曜日の朝11時。
動物病院でメタルマルを外してもらう。
治療費は1万円に僅かに届かないくらい。
 
日曜日の朝12時。
麻酔から覚めた子猫を第四の河口に運ぶ。
子猫を網袋から出して任務完了。
網袋から出された子猫は凄まじいスピードで逃げていった。
あれだけ走れるのならもう大丈夫だろう。
 
以上がこの週末の顛末である。
子猫が飛びついたとはいえ、子猫にとっては大迷惑な出来事だと思う。
今後は釣りに行く時には子猫に注意しようと心に固く誓った。