暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

父親

近くの県に出稼ぎに来ている父が遊びに来た。
父に会うのは一年ぶりである。
「たかのこの湯」で温泉に入り、

「瀬戸内旬菜棗」で夕食を取る。

妻がフグのコースを予約していてくれた。
自分にとって、一年に一度食べられるかどうかの贅沢な食材である。
とは言え、食事制限のため食べられるのはこの皿プラスアルファくらいで、コース料理の半分も食べることはできない。
 
IgA腎症が発覚してから、初めての父との食事だ。
父は昔と変わらず「どんどん食え」と言うのだが、以前のように食べることはできない。
電話で「もう普通の食事はできなくなった」と伝えておいたのだが、この病気に罹っている訳ではないので理解することができなかったのだろう。
普通の体ではなくなった自分を見て、父が少し寂しそうな表情を見せた。
 
何だか悪い気がした。
 
しかし、日頃の生活が悪くてこの病気に罹った訳でもないし、なってしまったものは仕方がない。
それに一緒の机で食事ができるだけでも良いことだと思う。
父には申し訳ないが、この状態に慣れてもらおうと考えている。