暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

ハゲタカジャーナル

最近、「ハゲタカジャーナル」という言葉をよく聞くようになった。

ハゲタカジャーナルとは、投稿された論文原稿をきちんと審査(査読)せずに受理して掲載する学術雑誌のことを言うらしい。

この学術雑誌では、論文原稿が投稿された時、あるいは受理して掲載した時に、著者から投稿料を受け取っている。

すなわち、論文の著者からするとお金さえ払えば論文が認められたことになり、学術雑誌からすれば投稿料で稼ぐことができる仕組みになっている。

驚いたことに、日本の有名大学(東京大学大阪大学京都大学名古屋大学九州大学北海道大学広島大学新潟大学など)の研究者でもハゲタカジャーナルに論文を投稿しているようだ。

こんなに有名な大学なら十分に研究費があるのだから(多分)、そんなことをしなくても良いのにと思ってしまう。

それはさておき、ハゲタカジャーナルの蔓延は論文の信頼性を下げるとともに、科学の健全な発展の妨げになる恐れがあるので、世界的な問題になっている。

 

なぜそうまでして論文を発表したいかというと、研究者の業績において論文が重要な位置を占めているからだ。

研究者には「Publish or Perish」という言葉ある。

これは「論文を書かないのなら去れ(研究者として生きるのであれば論文を発表しろ)」という意味である。

論文を発表すれば、業績が増えるだけではなく、その後の研究費の獲得が容易になり、さらに研究が発展できる。

論文を発表しなければ、業績は増えないので研究者として認められず、また研究費が獲得できなくなるので研究は滞ることになる(そしてそのうち学会に行くのも止めて大学に引き籠ることになる)。

論文を発表し続けることは研究者にとって欠かすことができない仕事なのである。

お金を払うだけで論文が発表できる学術雑誌があるのであれば、それに飛びつく研究者がいてもおかしくはない。

 

ちなみに自分の場合には投稿料を払えるほどの研究費がないので、投稿料が掛からない学術雑誌に論文を投稿している。

そんな訳でハゲタカジャーナルとは全く無縁だ。

あまりに研究費が乏しいので、研究費や設備が整っている研究室がうらやましくて仕方がない。

しかし、仮に研究費が潤沢にあってもハゲタカジャーナルに論文を投稿することはないだろう。

そんな仮の話はさておき、正当に研究費が稼げるように頑張りたい。