暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

山中教授の憂鬱

昨日は三か月ぶりの定期健診。
病院に行って血液検査と尿検査を受ける。
検査結果は相変わらずで良くもなく悪くもない。
自分は腎臓に持病があり、現代の医療技術では完治することはない。
なので、現状維持が最善の状態ともいえる。
 
唯一、完治する可能性があるのがiPS細胞に代表される再生医療である。
この病気が発覚した時には、O保方博士が見出したSTAP細胞によって再生医療が飛躍的に進歩すると騒がれたものだが、その結末は皆様が御存じのとおりだ。
そして今日、iPS細胞で有名な山中伸弥教授が所属する京都大学iPS細胞研究所でも研究が捏造されたとの報道があった。
再生医療の進歩を心待ちにしている自分からするとがっかりするようなニュースである。
 
ニュースによると、山中教授は辞任すら検討しているとのことである。
山中教授が捏造を指示していたのなら辞任すべきだと思う。
しかし、捏造したのは研究所の助教で、山中教授にはあまり関係がない。
山中教授の足元にも及ばない、三流、いや四流研究者の自分から言わせると、こんなのはただのとばっちりである。
その助教が博士号を持っている以上、研究に関する不祥事は自分自身で解決しなければならない。
それが、博士号を持つ者の責任だと思う。
 
研究のプレッシャーがあったという人もいるだろう。
助教のポストが任期付(一定期間の後に離職しなければいけない)ため、成果を焦ったのかもしれない。
しかし、そんなことは言い訳にならない。
ポストを得るために必死で頑張っているポスドク(博士研究員)は日本中に山ほどいる。
企業で研究に取り組んでいる人は、利益に繋がる成果を挙げられなければならないし、もし成果が得られなければ異動させられるかもしれない。
自分のような四流研究者の場合、医療系の10分の1以下の研究費でなおかつ設備の乏しい環境で生きていかなければならないのだ。
古典的な手法しか使えない自分のような研究者は将来が恐ろしくて仕方がない。
どんな立場であれ、研究という成果が得られるか得られないかわからないようなことをしている研究者にはそれ相応のプレッシャーが付きまとうのだ。
 
こんなことはさておき、患者の立場からすると、再生医療が発展することを祈るだけだ。
そういう意味で、今回の件で山中教授が辞任するようなことがなければと思う。