中島を目指して(前編)
週明けから本格的に忙しくなる。
その前に植村君と釣りに行くことにした。
行き先は中島。
あの奇跡の夜を再現するのだ。
仕事が終わってからすぐに釣りの準備にとりかかる。
全ての準備を終えた後にフェリー乗り場の三津に向かった。
フェリー待ちの車の列に並んだ直後、植村君がとある車を発見する。
それは、ロッドホルダーに7本ほどの釣竿を装備した、いかにもヘビーアングラーの車だった。
それも1人だけではない。
中島の(安全な)釣り場はそれほど多くない。
島に行ってから釣る場所がなかったらどうしよう。
ということで中島をあきらめ、伊予港で釣りをすることにした。
今回は青虫と本虫を餌にした投げ釣りと、ルアーでシーバス釣りをしてみる。
奇跡の夜を再現するにはこの釣りがふさわしい。
投げ釣りの仕掛けを投入してからシーバス釣りの準備を始める。
その時事件が起きた。
何と港内を移動していた船が植村君の仕掛けを引っ掛けたのだ。
船に引っ張られて植村君の竿が海に落ちる。
船は全く気づかない。
何とか竿を回収しようとしたが、やや流されてしまったので、さすがに玉網でも掬うことができない。
いろいろ考えた挙句、シーバスロッドのルアーで引っ掛けることにした。
こんなことってあるんですね。
投げ釣りの仕掛けは置いておいて植村君とルアーを投げる練習をする。
餌釣りと違い、ルアーは釣れる気があまりしない。
いろいろ考えて投げ続けるその様はまさに修行だ。
初心者だからそう思うのかもしれませんが。
練習に飽きて投げ釣りの仕掛けを見てみると何かついている。
仕掛けを巻き上げてみると途中で重たくなった。
もしやこれは・・・。
38cmのマコガレイだった。
まさかこんなものが釣れるとは。
まだ神様は我々を見捨てられてはいないらしい。
次第に辺りは暗くなり、港近くの公園で堤燈の灯りが点いた。
今年は週明けに桜が満開になるようなのでそのためだろうか。
休憩がてら波止で夕食をとることにする。
なかなか冷たい夕食だ。
今回は想定外のことばかりだが、この後に予想通りのことが起きる。
後編に続きます。