中島を目指して（後編）

夜の伊予港といえばアナゴだ。
アナゴが釣れると仕掛けがグチャグチャになることがあるので、出来ることなら遠慮したいが、こればっかりはアナゴ次第だ。
案の定、植村君がアナゴを釣り上げた。
小さいので逃がそうと思っているところ1匹のネコがやってきた。
やたらと釣り人になついている。
どうやら釣った魚がほしいらしい。

このネコは夜遅くまでずっと自分たちの側にいた。
　
街灯に照らされた海中には小魚がちらほら見える。
そんな状況を植村君が黙って見ている訳はない。
今夜も彼の腕が冴える。

イイダコを掬い上げた。
狙った獲物は逃さない。
さすが玉網王。
　
ここまでは予想通り。
　
いつものことかと思いながら投げ釣りの方を見てみると、またしても自分の仕掛けに何かついてる。
今度はさっきよりも重い。
何とか釣り上げてみると。

さっきよりも大きい41cmのカレイだ。
アナゴと玉網王は予想通りだったが、まさかまたカレイが釣れるとは。
釣りは何が起きるかわからない。
　
それから投げ釣りを続けるが、アナゴとハゼが少し釣れただけだった。
シーバス釣りの方はアタリもない。
午前2時過ぎまで粘ったが何も釣れなかった。
どんどん風が強くなってくる。
結局、疲れ果てて車の中で眠ることにした。
　
翌朝にちょっとだけ投げ釣りをしたが、何もアタリはなかったので7時に納竿した。
スカリに入れておいたカレイを取り出すと、昨夜のネコがやってきた。

ごめんよ、こいつは君にあげることはできない。
　
このカレイ、よく見ると口の上に突起物がある。

マコガレイにこんなのあったかな？
ひょっとしたらメイタガレイではないだろうか？
　
結局、この後も中島には行かなかった。
予定とは違ったけど伊予港でとても楽しい釣りができた。
予想できないことが起きるから、釣りは楽しいのかもしれませんね。