暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

高須賀君のこと(後編)

日本学術振興会の特別研究員に与えられるものは給料だけではない。
科学研究費補助金に応募する資格が与えられる、つまり研究費ももらえるようになる。
研究にはお金がかかるので、研究者にとって研究費の獲得は死活問題だ。
 
大学教員の場合、大学からある程度の研究費をもらうことができる。
しかし、それだけでは研究費が不足することが多いため、大学外部から研究費を獲得しなければいけない。
もちろん自分も研究費を獲得するよう努めている。
 
以前の国立大学では大学からかなりの研究費をもらうことができた。
その頃は学生だったので詳しくは知らないが、おそらく今の2倍程度の研究費をもらっていたことだろう。
当時の教員は、大学外部から研究費を獲得しなくても、ある程度の研究をすることができた。
ところが、国立大学が法人化してから大学の研究費が少なくなったので、大学外部から研究費を獲得しなければいけないようになってきた。
 
そもそも国立大学の研究費は国民の税金から成り立っているので、ただでもらえること自体が至れり尽くせりの状態だと思う。
しかし、これまで大学の研究費に依存してきた大学教員の中には、研究費がもらえないならということで研究をほぼ止めてしまった人が出てきた。
残念な話だが、教授にも研究を止めてしまった人達がいる。
 
高須賀君は職と研究費を獲得するために必死だった。
将来に向けて必死で頑張る若者と、ただ安定した職にすがりつく大学教員。
両者を比べると悲しくなる。
 
自分はそうならないように気をつけよう。