暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

高須賀君のこと(前編)

大学院の博士課程を修了するためにはお金がかかる。
研究に専念しないと修了できないことが多いので、アルバイトもあまりできない。
学費を工面できずに留年したり中退した学生をこれまでに何人も見てきた。
 
独立行政法人日本学術振興会では、有能な博士課程の学生とその修了生等を「特別研究員」に採用し、研究奨励金を給料としてもらえるという制度がある。
要するに、特別研究員になることができれば、給料をもらいながら研究活動に専念できるのだ。
特別研究員には4種類ある。

  • DC1

修士2年で申請して、採用されれば博士1年から3年間給料がもらえる。

  • DC2

博士1または2年で申請して、採用されれば博士2または3年から2年間給料がもらえる。

  • PD

博士3年か修了してから申請して、採用されれば3年間給料がもらえる。

PDのうち特に優れた者が採用されるもので3年間給料がもらえる。
 
全て34歳未満であることが条件である。
なお、上記の条件は大まかにまとめているうえ、医学、歯学、獣医学等の場合少し違うので詳しく知りたい方は調べてください。
 
研究に専念するためには素晴らしい制度であるが、実際には特別研究員に採用されることは難しい。
自分もPDに申請したことがあるが、採用されることはなかった。
 
環境昆虫学の高須賀君は博士1年の時にDC2に申請したが採用されなかった。
博士2年の時にもDC2に申請したが評価は良くなったものの採用されなかった。
博士3年の時にはPDに申請したがこちらでも採用されなかった。
今年の3月に博士課程を修了したが研究に専念していたため職はない。
無給で研究を続けながら再びPDに申請した。
 
そして今日、彼からPDに採用されたとの連絡を受けた。
彼の努力と執念がついに実を結んだのである。
 
後編に続きます。