暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

大学改革

今、日本の大学では「大学改革」に取り組んでいる。
 
自分の大学はもちろん、母校でも改組(組織を変えること)が進められているそうだ。
これで大学が良くなるのであれば喜ばしい限りである。
ただし、物事には様々な側面がある。
「良くした」つもりが「悪くなった」になっていなければ良いのだが。
  
そしてもう一つ心配なことがある。
 
「改革」というくらいだから、自分達の仕事が変ることになる。
その変化に必死で対応しようとしている教員がいる一方、受け入れられない教員も決して少なくない。
受け入れられない教員の大半は年配の方だ。
今までの仕事がガラリと変るので受け入れられない気持ちは分からなくもない。
ただし、年配の教員が受け入れなかった仕事は若い教員が担当する破目になる。
 
若手の教員は雑用や授業の準備で忙しいため、その合間を縫って研究や研究費の申請をしている。
研究環境が粗悪なら、研究室の準備もをしなければいけないだろう。
このうえさらに仕事が加わると、研究をする時間がどんどん削られていく。
このようなことが続くと、若手の教員が育たなくなり、最終的に大学の質が低下してしまうのではないだろうか。
 
現在の施策が若者の成長を妨げることにならないかと心配せずにはいられない。
もちろんこれは大学に限られた話ではない。
 
江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した勝海舟の言葉。
「全体、改革といふことは、公平でなくてはいけない。そして大きい者から始めて、小さいものを後にするがよいヨ。言い換へれば、改革者が一番に自分を改革するのサ。」
(「氷川清話」講談社学術文庫から)
 
もっともこの言葉が語られてから100年以上も経っている(勝海舟は1899年に亡くなられています)。
したがって人間の性質は100年経っても変らないのかもしれない。
 
とにかく、大学改革が良い方向に進められることを祈るばかりである。