暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

帰省(前編)

数か月前に、父親から「法事があるから帰省しないか」という連絡があった。
法事とは、祖父の三十三回忌である。
祖父の法事にはお葬式しか出席していないうえ、ここ何年間も実家に戻っていない。
どうせなら地元の海で釣りをしたい。
ということで帰省することにした。
 
それではどうやって帰省しようか…。
車や電車だと10時間くらいかかってしまう。
飛行機だと高くつくし、ロッドを持って帰るのが大変そうだ。
いろいろ考えた末、飛行機で帰ることにした。
ついでにセミハードのロッドケースを買って、これにシーバスロッドとライトロッドを入れて持って帰ることにする。
 
そして今日、まずは羽田空港に向かい、そこから乗り換えて地元の空港に向かった。
到着後、父親の車で実家に帰る。

父親の車には釣り道具を常備しているようで、さすがに我が父である。
しかし車の中がオキアミの臭いで充満しているのはどうかと思う。
 
実家は海から1分間もかからない距離にある。
到着後、シーバスロッドをもって海に出かけた。
まだ明るいのでワームで遊ぶ。
すると早速アナハゼが釣れた。

少し離れたところで極小のナブラが沸いたので、小さいメタルジグを投げる。

ナブラの正体はサバだった。
 
移動しては投げ、移動しては投げを繰り返していると、父親の車がやってきた。
父親も釣りに来たらしい。
サビキ釣りをアジを釣るというので、自分もやってみることにした。
やたらと長い父親のサビキ竿を振り回して仕掛けを投げる。
今日はあまり群れが来ていないようでなかなかアタリが来ない。
ようやく釣れたと思ったらスズメダイだった。

陽が傾くにつれてぼちぼちアジが釣れる。

もう少し暗くなったらアジが釣れてきそうな気がする。
それまではルアーを投げることにした。
 
地元でルアー釣りしたことがほとんどないので、とにかく釣れそうなメタルマルを投げる。
何回か投げた後、海藻に引っ掛かってしまった。
ロッドを思いっきりあおって抜き上げた直後、メタルマルが自分に向かって飛んできた。
かわす間もなくメタルマルが足に当たり、痛みを感じた。
何とメタルマルの後ろのフックが足に刺さってしまったのだ。
しかもジーンズ越しに刺さっているため、しゃがもうとするとジーンズが引っ張られてやたらと痛む。
つまりジーンズを脱がない限りしゃがむことができない。
いつもならバラしてばかりのメタルマルも、今日に限ってまったく抜けない。
隣で釣りをしている父親に声をかけて、何とかフックを折ってもらった。
これでしゃがむことができるようになったものの、フックの返しまでばっちり刺さっているため抜けない。
さあこれをどうしようか。
地元の町はかなりの田舎なのでこんな時間に開いている病院はない。
これまた父親にお願いして、30分程離れた町の救急病院に連れて行ってもらうことにした。

救急病院で局所麻酔をした後に無事に抜いてもらうことができた。
 
久しぶりの父親との釣りなのにとんでもないことになってしまった。
法事で帰省したのに釣りばかりしているから祖父が怒ったのかもしれない。
 
不謹慎かもしれないが、父親に病院に連れて行ってもらった時に、やはり父親は頼りになると思った。
久しぶりに父親に甘えた気がした。