暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

今年一年の研究を振り返って

午後から自分の大学の医学部に行ってきた。
医学部には教え子の留学生が助教として勤めており、彼に実験の技術を教えてもらおうためだ。
まさに「教え子に教わる」である。
なお、これは留学生からの申し出であって自分が強制した訳ではない。
自分が「ある実験技術の確立に取り掛かっているがなかなかうまくいかない」と彼に伝えたところ「それでは今度お見せしましょう!」と言ってくれたのだ。
と言うことでデジタルビデオカメラを片手に見学させてもらったのだが、これが目から鱗の連続だった。
今まで「自分の研究室には設備がない」だの「研究費がない」だの言い訳をしてきたのだが、見せてもらった方法では安価なものしか使っておらず、工夫を凝らして簡単で確実なものに仕上がっていた。
 
思えば、今年一年は研究設備と研究費の不足で悩むことが多かった。
自分の研究だけなら、新しい実験技術に挑戦しない限り特に問題はない。
しかし、研究室のトップに君臨している(らしい)自分は、研究室の助教の研究設備や研究費も考えなければならない。
それに新しい実験技術に挑戦しない訳にもいかない。
これまでよりもより真剣に研究費について考えた一年だったが、そのせいで心に余裕がなくなり発想が貧困になっていた気がする。
出張費や総説論文の掲載費でかなり自腹を切ったことや、学会の運営にかなりの時間を費やしたことも自分の心に余裕を失わせた原因の一つであったと思う。
来年はもう少し余裕をもって研究に励みたいものである。
 
論文の方は原著論文を2つ、総説論文を1つの合計3つを出すことができた。
数的には満足であるが内容は芳しいものではなかった。
実験結果はさておき、審査員の審査が厳しくなっているのだ。
これは自分の実験技術や発想が古くなっていることと関係がある。
今までにはない実験技術や発想を取り入れていかないとこれから先は研究者として生き残れない。
とは言え、それらを取り入れながら論文を書き続けるのはかなり難しい。
焦らず時間をかけて自分の実力を養う必要があると思う。
そういう意味で今年の最後に新しい実験技術を学ぶことができて良かった。
 
反省ばかりの一年だがこの経験を来年に活かせればと思う。
とにかく、学会大会の運営やお金の掛かる論文投稿は(少なくともしばらくは)御免被りたい。