暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

高須賀君の本

昨年に、環境昆虫学の卒業生である高須賀君がある本を書いた。
「クモを利用する策士、クモヒメバチ:身近で起こる本当のエイリアンとプレデターの闘い」という本で、本人から直々に頂戴した。

これを実験の空き時間を利用して読んでみた。
この本は彼の学生時代からの研究成果と研究歴をまとめたものである。
ハチやクモの分類や進化について詳細に記載しているので、専門が異なる自分にとってはやや難解だった部分もある。
それだけ彼が頑張って書いたのだろう。
それよりも、彼が研究を進めるうえでぶつかった様々な問題点をどのように乗り越えてきたか、という点は研究を志す学生にとって有益なものになると思う。
 
ちなみにこの本は「フィールドの生物学」というシリーズの一つでもある。
このシリーズの著者の中にどこかで聞いたことがある名前を見つけた。
その本を大学の図書館で見つけたので少し読んでみると、なかなか面白そうなので早速買ってみた。

「湿地帯中毒:身近な魚の自然誌研究」という本で、中島淳氏が書いたものである。
著者が大学で研究を始めて、様々な困難を乗り越えつつ、湿地帯に生息する生物の生態などを明らかにしていく過程や研究成果が記述されている。
著者はQ州大学の水産実験所の出身である。
自分は以前にQ州大学に勤務していたが、学生時代に半年ほど水産実験所でお世話になったことがある。
この本の中にも、M井先生やO川先生、M谷さんなどお世話になった方々の名前があり、当時の事を思い出して懐かしく感じた。
著者が研究を始めた頃に、四苦八苦しながら自分の仮説を検証していく様がとても面白い(増水した川に潜ろうとした、など)。
文章が平易なうえ、研究内容も分かりやすく記述されているのでかなり読みやすい。
こちらも研究を志す学生に読んでもらいたい一品である。