暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

論文と統計処理

先日再々投稿した論文の返事が学術雑誌から届いた。
これで無事受理だろうと思っていたがメールを読んで驚いた。
メールには雑誌の編集者の怒りが込められていた。
 
編集者は論文原稿の統計処理について再三修正を要求したのにもかかわらず、何も修正していないとお冠だ。
そして、「こんなに不誠実な対応を取るのであればお前の論文を受理しない」とまで言ってきた。
 
大変なことになってしまった。
これまでの編集者のメールを読み返してみて、自分があるものに見落としていたことに気付く。
それが「効果量(effect size)」というものである。
これは統計処理で用いられているものであるが、恥ずかしながら自分は知らなかった。
と言うことで必死で勉強して論文原稿を修正した。
この際なので二度と忘れないよう勉強したことを記しておきたい。
 
大雑把に言うと、実験で得られたデータは統計処理をすることになっている。
統計処理では統計学の手法を用いてデータを客観的に解析するため、主観を取り除いてデータを説明できるようになり、そのデータの信用性が増す。
逆に言うと、統計処理をしていないデータはきちんとしたデータとしては認められない(統計処理できないものを除く)。
 
この統計処理では実験データに「有意性」があるかどうかを算出する。
有意というのは「確率的に偶然とは考えにくく、意味があると考えられること」である。
つまり、得られた実験データが偶然なのか、それとも意味のあることなのかを統計処理で判断することになる。
実験の結果が偶然なんかよりも意味のあることである方が良いに決まっている。
自分が実験をする時はいつも「有意性」があることを願っている(有意性がない方が良い場合もあります)。
 
ところで統計処理には様々な方法がある。
自分は主にt検定や分散分析という方法を使うが、これらの方法にはある共通した特徴がある。
それは「実験データの数が増えれば増えるほど有意性が得られやすい」ということだ。 
 
したがって、有意性が欲しいのであれば実験データの数を増やせば良いのだが、20年位前からそれではいけないという考えが生まれてきた。
そして、データの数とは無関係に有意性を表す指標が生み出された。
それが「効果量」である。
 
(まだ勉強中ですので、この続きは後ほど書きます。)