暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

ハマチ祭り(後編)

ハマチ祭りは終わったのか。
 
その真偽を確かめるため、植村君とともに朝5時に例の場所へ向かう。
日の出前にも関わらず多くの釣り人がいた。
しかしハマチが釣れている気配はない。
 
祭りももう終わりだな・・・。
そう考えながらメタルジグを投げていた。
のんびりリールを巻いていたその時、突然シーバスロッドに強い衝撃が走る。
今まで経験したことのない強烈なアタリだ!
 
ドラグをジージー言わせながらリールから糸が出て行く。
このままでは糸を巻くことができない。
ドラグを締めると一気にロッドが曲がる!
糸は自分の右前方に出続けている。
このままではテトラポッドに糸が触れて切れてしまう。
右隣の釣り人と場所を換わってもらい、急いで右側に移動する。
 
この引きは並ではない。
そしていつまで経っても引きが弱らない。
ただただ必死にロッドを支える。
ロッドを支える左腕が疲れてきた頃、この引きの特徴が分かってきた。
思いっきり引いた後に、ほんの少し休憩して、また思いっきり引いてくる。
この休憩の時にリールを巻くのだ。
 
幸いなことに、自分のPEラインは10メートル間隔で色分けされている。
未だに相手の姿は見えないが、ラインの色で相手との距離が分かる。
一番先の緑色のラインが見えてきた頃、ついにその姿を現した。
ハマチだ!
 
ハマチは姿を見せてもなお左右に下に走っている。
一瞬たりとも気が抜けない。
こちらの左腕は限界だ。
お互い休憩しながら相手の様子を伺う。
周りの釣り人が玉網を準備していてくれる。
ハマチが海面に出てきたところで玉網で掬ってもらった。
 
5分間を超える激闘だった。
玉網で掬ってもらった直後、ハマチの口からジグが外れた。
よく見るとジグのトリプルフックが曲がっていた。

今回は釣り上げることができたが、逃してしまう可能性も十分にあった。
自分のタックルもよく頑張ってくれたと思う。
もし以前のリールなら確実にハマチをバラしていただろう。
そして、いろいろな人がずっとアドバイスを送り続けてくれていた。
自分一人の力では釣り上げることはできなかっただろう。
ありがとうございました。
 

78cmあった。
ハマチは出世魚なので、関東ならワラサ、関西ならメジロだろうか。
 
慣れない手つきでハマチを〆る。 
地元の釣り人から、自分が釣り上げたハマチは群れからはぐれたものだと教えてもらった。
やはりハマチ祭りは終わっていたのだ。
 
この後大学の研究室でハマチを捌いた。
植村君の包丁技が冴え渡る。
三枚目のおろしに取り掛かった頃、彼の絶叫が響き渡る。
なんと血合いのところに寄生虫がいた。
ブリ糸条虫という寄生虫らしく、春の天然のハマチによく見られるものだそうだ。
 
青物の引きは別格というがそれは本当だった。
今回釣り上げることができたのは数々の幸運のおかげだ。
いつかまた青物にチャレンジしたい。
次の祭りに向けて腕を磨いておこう。